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筆者が中学生だった頃、授業でこんな問題が出ました。
【問題】以下の文を受動態に書き直しなさい。
Nancy ate the tempura.
ナンシーはその天ぷらを食べた。
【解答】
The tempura was eaten by Nancy.
その天ぷらはナンシーによって食べられた。
「こんなフレーズ使わねーよ!」と中学生ながら思っていましたが、当時はよくある受動態の問題でした。まあ教える側としては、受動態の文法構造を理解させるために能動態の文を受動態の文に書き換えさせる、という趣旨なので一概に否定はできません。
しかし、今から思えば個人的に「これは教えておいて欲しかった」と思うことが2点あります。それは、
・受動態は能動態とは別物
・どんな時に受動態を使うか?
という事です。<be動詞+過去分詞>という公式さえ覚えたら受動態の文章は作れますが、それだけでは「そもそも受動態とは何ぞや?」は理解できません。
ここでは当時の自分に教えるつもりで受動態の本質を解説していきます。
受動態は能動態とは別物です
中学校当時、能動態の文を受動態に書き換える練習ばかりさせられたおかげか、受動態とは能動態と何か関係のある表現法だと思っていました。実際は全くの別の文法だとわかってきたのはだいぶ後になってからです。考えてみれば我々日本人も日常的に日本語で受動態を使っています。 例えば以下のような文。
「昨日、ラーメン屋に行ったらめちゃ待たされたよ。」
なんとなくフラッと入ったラーメン屋、予想外に混んでいて待たされた。
「待たされた」って受動態ですよね。
これがもし、人気のラーメン屋で最初から混んでいることがわかっていた場合はどうでしょう。
「昨日、ラーメン屋に行ってめっちゃ待った。」
待たされると知っているうえで行ったのだから、待ったのは自分の意志。行為者が自分だから能動態です。
主語が自らする側なら能動態、させられる側なら受動態。そもそもこの2つは、状況によって使い分ける別物の文法です。それなのに学校の授業では、能動態→受動態の練習ばかりだから混乱してくるのです。
どんな時に受動態で表現する?
では受動態を使うのはどんな時か?を考えてみましょう。
それは少し前にも触れたように、受動態を使うのは主語が行為者ではなく行為を受ける側の時、言い換えれば行為者の存在が重要ではない時です。
例文を見てみましょう。
My bag was stolen.
私のかばんが盗まれた。
誰がかばんを盗んだのかわからないので、行為者を主語にすることは不可能です。このように、ただかばんが盗まれたという事実を伝える時、受動態を使います。
The bakery is closed at 6pm.
そのパン屋は6時に閉店する。
実際に店を閉める、閉店作業をする行為者は店長なのか従業員なのか。そこは重要ではありません。ただ6時に閉店するという情報さえわかればよい。そんな時も受動態です。
なぜbyで行為者を表す?
冒頭の例文のように、学校の授業ではbyを使って行為者を表す文章が多用されますが、前述のとおり行為者は重要ではありません。それをあえてbyで表すのは、行為者が重要な時です。
“Dragon Ball” was written by Akira Toriyama.
「ドラゴンボール」は鳥山明によって描かれた。
このような文で表現する理由は、ドラゴンボールの作者が誰かという情報を伝える時です。英語という言語は、重要な情報は後ろの方に持ってくる特性があります。つまり、この文は大げさにいえば「ドラゴンボールは、あの鳥山明によって描かれたんだぞ」というニュアンスになります。
もうひとつ、教科書でよく出てくる例文を見てみましょう。
This picture was taken by Tom.
この写真はトムによって撮られた。
「この写真を撮ったのは誰?じつはトムでした。」撮影者が誰かという情報を伝える表現です。では、ここで冒頭の例文に戻ってみましょう。
The tempura was eaten by Nancy.
その天ぷらはナンシーによって食べられた。
うーんあらためて見てみると…いや文法的には何も間違っていません。しかし、まず天ぷらに焦点をあて、「そして天ぷらを食べた人物とはなんとナンシー。」
いや単純に
Nancy ate the tempura.
ナンシーはその天ぷらを食べた。
って能動態でよくね?って話です。
by以外の前置詞
主語に影響を与えるのは何かの行為とは限りません。状況や自然現象の場合もあります。そんな時は使う前置詞も変わってきます。
My sister was injured in a car accident.
わたしの姉は交通事故で負傷した。
The mountain is covered with snow.
その山は雪で覆われている。
1文目は、交通事故という状況の中で起きたことを表すためinを使います。
2文目は、付随・付帯を表すwithを使います。
前置詞の話を始めると長くなってしまうので、詳しくは以下の記事をご覧ください。
例文で受動態の感覚を養う
では実際に、様々な受動態の使い方を見ていきましょう。感覚を養うには実際に多くの文に触れるのが効果的です。
行為者がしたのかわからない
The castle was built in 12th century.
その城は12世紀に建てられた。
12世紀に建てられたのは判明してるけど、誰が建てたのかはわからない。そんな時は受動態で表現するしかありません。
When I arrived there, the gate was closed.
わたしが着いた時には門は閉じていた。
門が閉じていたという事実のみが重要であって、誰が閉じたのかは問題ではありません。
行為者は重要ではない
English is spoken all over the world.
英語は世界じゅうで話されている。
英語は世界じゅうで話されている言語です。主語をアメリカ、カナダ、イギリス…と挙げていたらキリがありません。英語という言語が世界規模で普及していることを表すために受動態を使っています。
All men are created equal.
全ての人間は平等に創られている。
アメリカ建国の父トマス・ジェファーソンの名言。人間を創ったのは誰かは問題ではなく、平等に創られているというメッセージを伝えるための受動態です。
行為者が誰(何)なのか言いたくない
The computer was broken.
パソコンが壊れました。
会社のパソコンが壊れたら上司に報告しなければいけません。原因は心当たりがあるいやむしろ自分が壊した。でもそこは“I broke the computer.”なんて絶対に言えない。そんな時はとりあえず壊れた事実だけを報告。最後にby meなんてつける必要はありません。





