「旅行」を意味するtravelの語源は「拷問」!?

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「旅行」を意味する travel は、日本語でもそのまま「トラベル」として使われています。しかしこの言葉の語源は、古代フランス語で「苦痛を与える」を意味するtravailler、さらにはラテン語で「拷問器具」を意味するtripaliumという、元のイメージからは程遠い所から来ています。

楽しいはずの旅行の語源が、なぜそんな物騒な言葉なのか?それは、大昔の人々と現代の我々とは「旅行」に対する概念が全く違うからです。



旅行は死と隣り合わせ

現代では旅行はレジャーのひとつです。旅行の準備から列車・飛行機での道中、旅先の人との出会いや観光名所巡りなど全てがワクワクするイベントです。しかし旅行が楽しいのは安全だという前提があるからです。

大昔では、旅はそんな生易しいものではありませんでした。移動は徒歩か馬、深い森や山で迷い食糧が尽きてのたれ死ぬかもしれないし、盗賊団や野生動物に襲われるかもしれない。船旅でも嵐による沈没の危険はつきまとう。そんな生きて帰ってこれる保証がないことを、必要に迫られない限りわざわざやる必要はありません。「旅行=レジャー」という発想がまず成り立たないのです。

旅行とは戦争

昔の旅行、つまり他の場所へと移動することが最も多かった人間は軍隊です。他の土地へと攻め込むために「旅」をするのです。大部隊での移動なので命を落とす危険は格段に減りますが、徒歩と馬での移動には変わりはないのでやはり危険は伴います。それでも攻め込むためには旅をしなければなりません。

日本語でもその名残はあります。旧日本軍の部隊の単位が「旅団」と呼ばれていたように、やはり旅と危険は切っても切り離せない関係でした。



いつから旅は楽しくなった?

そんな苦痛と危険を伴う旅行ですが、レジャーの意味合いを持つようになったのは産業革命あたりだと思われます。産業革命により蒸気機関車が登場し、庶民でも安全に旅をすることができるようになりました。「旅行」を意味するものに関連する言葉、tourism「観光」という言葉が生まれたのもこの頃です。

「旅行」を意味する travel という言葉に「楽しみ」のようなポジティブなイメージになったのはわりと最近のことなのです。



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