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先生「現在完了形は、日本語にはない文法です」
授業でこんな説明を受けた記憶があるかと思います。<have + 過去分詞>で文章を作り、「継続・経験・結果 / 完了」の3つの用法がある、と習います。
しかしいまいちピンとこない。「んー?なんのこっちゃ…」と悩み、結局よくわからないまま受験を終えた、なんて人も多いのではないでしょうか。
ここでは、そんな分かりにくい現在完了形をわかりやすく解説します。
過去形と比較すればイメージがわく
現在完了形を理解するには、過去形と比べてみることが近道です。
以下の例文を見てください。
1.I lost my smartphone.
2.I have lost my smartphone.
最初の文は過去形、次の文は現在完了形です。日本語にするとどちらも「わたしはスマホをなくした」です。では違いを見ていきましょう。
1.の文は「過去にスマホをなくした」という事実を述べています。語っているのはあくまで過去のことで現在とはつながっていません。今はスマホは見つかったかもしれないし、まだなくしたままかもしれない。この過去形だけでは現在のことはわかりません。
2.の文は「過去にスマホをなくし、今もなくしたまま」という状態です。過去の出来事が現在につながっているのです。
そもそもなぜ<have + 過去分詞>の形?
現在完了の文章を組み立てるには<have + 過去分詞>のルールで作ります。この型を暗記すればとりあえず現在完了形の文章を組み立てることはできます。しかし現在完了形の本質を理解するには、そもそもなぜこの型なのかに注目しましょう。
学校の授業では初期に習う超基本動詞have。これは「持っている」という意味ですね。この本質は現在完了形でも変わりません。さきほどの例文を見てみましょう。
I have lost my smartphone.
わたしはスマホをなくした。
これを、主語+動詞でいったん区切ってみましょう。
I have / lost my smartphone.
もっている / スマホをなくした
つまり、「スマホをなくした」という事実を持っているのです。文のコアとなる動詞haveは現在形なので、視点はあくまで現在になります。“lost my smartphone”を目的語と捉えると、スマホをなくした状態を「持っている」ことになります。
結果 / 完了
過去の出来事ではなく、今はその状態であることを表現します。
●過去形
It stopped raining.
雨が止んだ。
「雨が止んだ」のはわかりますが、いつの話かわかりません。
●現在完了形
It has stopped raining.
雨が止んだ。
同じ「雨が止んだ」でも現在完了形にするだけで、今まで降っていた雨が止んだということがわかります。ざっくり言えば、
●過去形 ⇒ だいぶ前に雨は止んでた
●現在完了形 ⇒ ついさっきまで雨は降ってた
というイメージです。
■結果 / 完了を表す時によく使われる表現
just: たった今、ちょうど
I’ve just arrived at the station.
ちょうど駅についたところです。
already: すでに、もう
My boss has already prepared for the presentation.
わたしの上司はすでにプレゼンの準備をしていた。
yet: まだ、もう
Have you finished your assignment yet?
課題もう終わった?
ー No, not yet.
いや、まだ。
継続
過去からある状況が今でも続いています。冒頭のスマホをなくした例文がまさにそうです。
●過去形
Jousuke lived in Moriou-cho for a long time.
仗助は長い間、杜王町に住んでいた。
過去の事実を述べているだけで、今現在には触れていません。聞き手は「今は住んでいないんだな」と解釈します。
●現在完了形
Jousuke has lived in Moriou-cho for a long time.
仗助は長い間、杜王町に住んでいる。
「長い間、杜王町に住んでいる」という事実を持っている、つまり今現在も杜王町に住んでいます。
経験
過去に行動・学習したことを持って(have)います。
●過去形
I ate durian.
わたしはドリアンを食べた。
過去にドリアンを食べた事実を述べているだけで、現在とは何のつながりもありません。
●現在完了形
I have eaten durian.
わたしはドリアンを食べたことがある。
「ドリアンを食べた」という事実を持っている、つまりドリアンを食べた経験があるということです。
また、「あの映画観たことある?」と誰かに聞く時も過去形ではなく現在完了形を使います。
× Did you see “Titanic”?
○ Have you ever seen “Titanic”?
「タイタニック」観たことある?
■経験を表す時によく使われる表現
ever: かつて、以前
I’ve ever been to Iceland.
わたしはアイスランドに行ったことがある。
never: 決して~ない、
He has never given up till game is over.
彼は試合が終了するまであきらめたことはない。
「スラムダンク」流川の名セリフ
不朽の名作マンガ「スラムダンク」の名セリフを見てみましょう。
●過去形
I shot millions of times.
何百万本ものシュートを打った。
これもただ事実を述べただけの過去形です。これだけ言われても「どこで?いつ?」と、なんの話かわかりませんよね。
●現在完了形
I have shot millions of times.
(今まで) 何百万本ものシュートを打った。
現在完了形にすると、これまで打ってきたシュートの数の経験の話だと分かります。”shot millions of times”「何百万本のシュートを打った」という事実を持っています。
My body memorizes. I’ve shot millions of times.
体が覚えてらっ 何百万本もうってきたシュートだ
have been?それとも have gone?
初心者がつまずくポイントのひとつに have been と have gone の使い分けがあります。
現在完了形を使って「わたしの父はフランスへ行ったことがある」という文を作る時、以下のどちらが正しいでしょうか?
1. My father has been to France.
2. My father has gone to France.
答えは 1. です。慣れないうちはどちらか迷いますが、完了形の継続の特性を理解してしまえば大丈夫です。なぜ<have + 過去分詞>の形なのかを思い出してみましょう。
1. 「フランスにいた事実」を持っている。
2. 「フランスに行った事実」を持っている。
1. はフランスにいた事がある経験を語っているのに対し、2. だと「行った事実」が今も続いている、つまり今もフランスに行ったっきりになります。受験英語ではhave gone to ~ を「~に行ってしまった」と日本語訳されるのはこういう理由からです。
まとめ
現在完了形には「継続・経験・結果 / 完了」の3つの用法がある、などと聞くとなにやら小難しい気がしますが、何を持っている(have)のかを考えればイメージがわきやすいです。現在完了形は実践でも当たり前のようにバンバン使われているので、多くの文に触れながら感覚を養いましょう。