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先生「現在完了形は日本語にはない文法です」
などと教える英語教師はさすがに減ってきたと思いますが、これ言われるだけで苦手意識を植え付けられそうですよね。そんな前置きいらねーよ、って話です。
現在完了形をマスターするコツは2つ。過去形との違いを理解する事と、なぜ<have+過去分詞>なのかに注目することです。2つとも何も難しいことはないのでそれぞれ解説していきます。
過去形と比較すればイメージがわく
現在完了形を理解するにはまず過去形と比べてみる、とはよく言われるセオリーです。
以下は定番の例文です。
1.I lost my smartphone.
2.I have lost my smartphone.
最初の文は過去形、次の文は現在完了形です。日本語にするとどちらも「わたしはスマホをなくした」です。
1.の文は「過去にスマホをなくした」という事実を述べています。語っているのはあくまで過去のことで現在とはつながっていません。今はスマホは見つかったかもしれないし、まだなくしたままかもしれない。この過去形だけでは現在のことはわかりません。
2.の文は「過去にスマホをなくし、今もなくしたまま」という状態です。過去の出来事が現在につながっているのです。これが現在完了形の特徴です。
■日本語にも現在完了形は存在する!?
冒頭で「現在完了形は日本語にはない」と言う教師の話をしましたが、じつは我々も日本語で日常的に使っています。
例えば友達同士で以下のようなやりとりを考えてみましょう。
友達「なんでそんな疲れた顔してんの?」
自分「いやー、昨日から寝てないんだよ。」
何気ない会話ですが、「昨日から寝てない」ってまさに現在完了形です。寝ていない状態が過去から現在に続いています。つまり「現在完了形は日本語にはない」というよりは、言い換えれば日本語文法には現在完了形という文法用語はないということです。
そもそもなぜ<have + 過去分詞>の形?
教師「現在完了形の文章の作り方は<have + 過去分詞>です。」
ここまではどこの学校の先生でも教えてくれますね。じつは、この型そのものが現在完了形を理解するポイントでもあるのです。
「え?どういうこと!?」
と思ったら、もう一度さっきの例文を見てみましょう。
I have lost my smartphone.
わたしはスマホをなくした。
これを主語+動詞のところで、いったん区切ってみましょう。
I have / lost my smartphone.
わたしは持っている / スマホをなくした
カンのいい人は「そうか!」と気づいたのではないでしょうか。そう、ポイントは動詞のhaveです。haveは「持っている」という意味。もちろんhaveには色々な意味や使い方がありますが本題ではないので、ここでは「持っている」にだけ注目しましょう。
つまり、「スマホをなくした」という事実を「持っている」のです。文のコアとなる動詞haveは現在形なので、視点はあくまで現在になります。“lost my smartphone”を目的語と捉えると、スマホをなくした状態を「持っている」ことになります。
学校で習った3用法って…
こうして考えると、教科書で習った現在完了形の結果/完了・継続・経験の3用法って何も難しいことはありません。3つの用法とか難しい文法用語にしてますが、過去から現在に至るまで「持っている」と考えれば、結果/完了や継続、経験、ってそりゃ当たり前だろって話です。身もふたもない言い方をすれば、なんとなく感覚で現在完了形がわかっていれば3用法なんて理屈で説明できなくても問題ありません。
とはいえここで全く触れないのもアレなので、3つの用法の例文を見てみましょう。
結果/完了
過去の出来事ではなく、過去から続いている結果を表現します。まずは過去形の文をみてみましょう。
It stopped raining.
雨が止んだ。
「雨が止んだ」のはわかりますが、いつの話かわかりません。次は現在完了形の文です。
It has stopped raining.
雨が止んだ。
同じ「雨が止んだ」でも現在完了形にするだけで、今まで降っていた雨が止んだというニュアンスになります。ざっくり言えば、
●過去形 ⇒ 過去に雨は止んだという事実
●現在完了形 ⇒ ついさっきまで雨は降ってた
というイメージです。
■結果 / 完了を表す時によく使われる表現
just: たった今、ちょうど
I’ve just arrived at the station.
ちょうど駅についたところです。
already: すでに、もう
My boss has already prepared for the presentation.
わたしの上司はすでにプレゼンの準備をしていた。
yet: まだ、もう
Have you finished your assignment yet?
課題もう終わった?
ー No, not yet.
いや、まだ。
継続
過去の状況が今でも継続しています。
Jousuke lived in Moriou-cho.
仗助は杜王町に住んでいた。
過去の事実を述べているだけで、今現在には触れていません。聞き手は「今は住んでいないんだな」と解釈します。
これを現在完了形にすると、
Jousuke has lived in Moriou-cho.
仗助は杜王町に住んでいる。
「長い間、杜王町に住んでいる」という事実を持っている、つまり今現在も継続して杜王町に住んでいます。
経験
過去に行動・学習したことを持って(have)います。
I ate durian.
わたしはドリアンを食べた。
過去にドリアンを食べた事実を述べているだけで、現在とは何のつながりもありません。
では現在完了形にしてみましょう。
I have eaten durian.
わたしはドリアンを食べたことがある。
「ドリアンを食べた」という事実を持っている、つまりドリアンを食べた経験があるという文になります。
また、「あの映画観たことある?」と誰かに聞く時も過去形ではなく現在完了形を使います。
× Did you see “Titanic”?
○ Have you ever seen “Titanic”?
「タイタニック」観たことある?
■経験を表す時によく使われる表現
ever: かつて、以前
I’ve ever been to Iceland.
わたしはアイスランドに行ったことがある。
never: 決して~ない、
He has never given up till game is over.
彼は試合が終了するまであきらめたことはない。
■ 流川「体が覚えてらっ 何百万本もうってきたシュートだ」
名作マンガ「スラムダンク」の流川楓の名セリフ、これも現在完了形です。
My body remembers. I’ve shot millions of times.
体が覚えてらっ 何百万本もうってきたシュートだ
このセリフ、3用法でいえば経験を表す現在完了形ですね。<何百万本のシュートを打った>経験を持っているのです。
have been?それとも have gone?
初心者がつまずくポイントのひとつに have been と have gone の使い分けがあります。
現在完了形を使って「わたしの父はフランスへ行ったことがある」という文を作る時、以下のどちらが正しいでしょうか?
1. My father has been to France.
2. My father has gone to France.
答えは 1. です。慣れないうちはどちらか迷いますが、完了形の継続の特性を理解してしまえば大丈夫です。なぜ<have + 過去分詞>の形なのかを思い出してみましょう。
1. 「フランスにいた事実」を持っている。
2. 「フランスに行った事実」を持っている。
1. はフランスにいた事がある経験を語っているのに対し、2. だと「行った事実」が今も続いている、つまり今もフランスに行ったっきりになります。受験英語ではhave gone to ~ を「~に行ってしまった」と日本語訳されるのはこういう理由からです。
よくsinceとかforが使われるのはなぜ?
現在完了形の文ではよくsinceやfor、またalreadyやyetがよく使われます。これは、過去から現在に至るまでを表す文脈においては期間や頻度を表すことも多いため、自然とこれらの単語がセットでついてくる機会が多くなるためです。
以上、現在完了形の解説でした。現在完了形をマスターすると表現できる幅が大きく広がるので、英会話の実践でもどんどん使って慣れていきましょう。