助動詞とは文字通り「動詞を助ける言葉」です。英文法の中では助動詞は比較的簡単な部類ですが、「意外と難しい」と感じる人が多いのも事実です。その理由は、助動詞には文脈によって意味が変わるからです。しかしよく文を見ると、全く違う意味になっているわけではない事がわかります。一見すると意味が違うように見えても、根っこにある言葉の性質はひとつだけです。
まずは学校で習う最初の助動詞canを例にとってみましょう。
He can speak English.
彼は英語を話せます。
「~できる」という能力を意味する助動詞です。助動詞には2つの特性があります。
・動詞の前に置く
・前に助動詞を置かれた動詞は原形になる
この文では動詞speakの前に助動詞canが置かれています。また三単現の文ですがspeakに-sはついていません。
否定文にする時は時は助動詞にnotをつけ、疑問文にする時は助動詞を文頭に持ってきます。
He can’t speak English.
彼は英語を話せません。
Can he speak English?
彼は英語を話せますか。
これが助動詞の基本的な使い方です。このルールはcanに限らず他の助動詞shouldやwillなどでも同じです。 このように、配置のルール自体はそんなに難しいものではありません。しかしcanには「~があり得る」と別の意味も存在します。文脈によって意味がかわるので見極めが必要になってきます。
ここでは、それぞれの助動詞を見ていきましょう。
can: 能力・可能性
「~できる」以外の意味が多くて混乱しそうですが、canの根底にある意味は「能力・可能性」であり、どの文脈でも共通しています。
能力「~できる」
Jonny can run 50 meters in 6 seconds.
ジョニーは50メートルを6秒で走ることができます。
可能性「あり得ること」
My boss can be very agressive.
私の上司はとても攻撃的になることがあります。
Wheat can cause allergic reactions.
小麦はアレルギー反応を起こすことがあります。
可能性がないことを示すcan’t
The news can’t be true.
そのニュースが本当なはずがない。
許可「~してもよい」
You can use my computer.
わたしのパソコンを使ってもよいですよ。
別記事: canとbe able toの違い
canと同じ意味をもつbe able toとの使い分けについては以下の記事を参照してください。
must: 根底の意味は「圧力」
「~しなければならない」と「~に違いない」の意味があります。根底にある意味は「圧力」です。
義務「~しなければならない」
I must finish this report by tomorrow.
明日までにこのレポートを終わらせないといけません。
確信「~に違いない」
You didn’t sleep last night? You must be sleepy!
昨日、寝てないの?それは眠いでしょう!
強い勧め
You must see this movie. It’s so much fun!
この映画を観なきゃだめだよ。めちゃ面白いから!
別記事: mustとhave toの違い
同じ「~しなければならない」を意味するhave toとの違いについては以下の記事を参照してください。
may: 許可・推量
「~してもよい」「~かもしれない」と許可・推量の意味を持ちます。
許可「~してもよい」
You may use your dictionary during the test.
試験中は辞書を使ってもよろしい。
May I have a glass of water?
お水を一杯もらえますか。
推量「~かもしれない」
It may rain tonight.
今夜、雨が降るかもしれない。
The information may be true.
その情報は本当かもしれない。
別記事: 許可を表すcanとmayの違い
「~してもよい」と許可を意味するcanとmayの違いは以下の記事を参照してください。
should: 助言・確信
「~すべきだ」「~のはずだ」と、根底には助言・確信の意味を持ちます。
助言「~すべきだ」
You should study hard before the test.
テスト前は一生懸命に勉強すべきです。
確信「~のはずだ」
You should win the game.
あなたはきっと試合に勝ちますよ。
will: 未来を表現
「~するつもりだ」「~になるだろう」と、未来に向けた意志・推量の意味を持ちます。
意志「~するつもりだ」
I will go on a trip to London next year.
私は来年、ロンドンへ旅行へ行くつもりです。
推量「~になるだろう」
The train will be delayed due to bad weather.
電車は悪天候のため遅れるでしょう。
別記事: willとbe going toの違い
未来を表すwillとbe going toの違いと使い分けは以下の記事を参照してください。