英文法の中でもつまずく学習者が多い関係代名詞。その理由は、文章が複雑になるから。通常の主語+動詞に加え、さらに文中に出てくる名詞を主語や動詞で修飾するものだからわけがわからなくなる。しかも先行詞とか主格所有格目的格とか文法用語のオンパレード。そんな感じで心折られてしまいます。
しかし冷静に見てみると、関係代名詞だけが他の英文法とは違う法則で構成されているわけではないことに気づきます。先ほど述べたような先行詞や、主格・所有格・目的格など覚えるべき項目が多いのは事実ですが、逆にいえばそれだけです。全てまとめて理解しようとするのは逆効果。ひとつひとつ丁寧に、ゆっくり理解していきましょう。
そもそも関係代名詞ってなに?
まずは文法用語を覚えることから始めましょう。
以下の例文を見てください。教科書でよく見る定番です。
I have a friend.
わたしには友達がいます。
He lives in Moriou-cho.
彼は杜王町に住んでいます。
これを関係代名詞でつなぎます。
I have a friend who lives in Moriou-cho.
わたしには杜王町に住んでいる友達がいます。
a friend(友達)という名詞をlives in Moriou-cho(杜王町に住んでいる)という節が修飾、このふたつをつなぐwhoが関係代名詞です。つまり関係代名詞とは、関係する事柄を代名詞でつなぐ働きをする言葉です。
「whoって”Who is he?”みたいな疑問詞じゃないの?」と思うかもしれませんが、この場合は関係代名詞です。英語では同じ言葉でも品詞が変わることがあります。toが不定詞になったり前置詞になったりするのがその一例です。
そして関係代名詞に修飾される名詞(この場合はa friend)を先行詞と呼びます。なぜわざわざ「先行」などと呼ぶかというと、関係代名詞の後に続く節(この場合は lives in Moriou-cho)を後続節と呼び、先か後かを明確にするためです。
もうひとつ重要なこと。関係代名詞whoの後、後続節がいきなり動詞のlivesから始まり主語が抜けていることに注目してください。これは、後続節の主語を関係代名詞whoが先行詞a friendと結びつけているためです。
関係代名詞の種類
関係代名詞は、先行詞の種類(人かそれ以外か)や格(主格・所有格・目的格)によって違います。代名詞の I, my, meやyou, your, you、it, its,it と変化するのと同じ理屈です。
主格 | 所有格 | 目的格 | |
人 | who | whose | who(whom) |
人以外(物・事など) | which | whose | which |
両方使える | that | – | that |
目的格・人ではwho, whomの2つがあります。最近ではwhomはあまり使われなくなりましたが、フォーマルな文書などでは使われています。
主格の関係代名詞
先行詞が節内の主語として働く場合、主格の関係代名詞を使います。
■主格・人
That is the woman who started this project.
あれが今回のプロジェクトを立ち上げた女性です。
■主格・物
I want to live in a house which has big windows.
わたしは大きな窓がある家に住みたい。
目的格の関係代名詞
先行詞が節内の目的語として働く場合、目的格の関係代名詞を使います。
■目的格・人
Is that the man who you were talking about last week?
あれがあなたが先週話していた男性ですか。
■目的格・物
The car which my friend bought was very expensive.
わたしの友人が買った車はとても高かった。
所有格の関係代名詞
先行詞が節内の所有格として働く場合、所有格の関係代名詞を使います。
■所有格・人
I have a friend whose mother is a famous musician.
私には母が有名なミュージシャンの友達がいます。
■所有格・物
I see a big house whose roof is covered with snow.
屋根が雪で覆われた大きな家が見えます。
thatを使う
前述の表にもあるように、thatは人でも人以外でも使える関係代名詞です。
I have a friend that lives in Moriou-cho.
わたしには杜王町に住んでいる友達がいます。
The car that my friend bought was very expensive.
わたしの友人が買った車はとても高かった。
■なんでthat?
thatは接続詞としても使用されるように、何かを指し示す・つなげる言葉です。英語の歴史のなかで、先行詞と後続節をつなげる関係代名詞として使用されるのも自然な流れだったのでしょう。who, whichと厳密に使い分ける必要はなく、thatの方が口語的で堅苦しくないイメージです。
■thatのみを使うケース
以下の場合はwho, whichではなく、thatを使います。
・the only, the first, the last や比較の最上級の場合
・all, every, any, no がつく「全てか無か」の場合
つまり、先行詞が唯一無二の時は関係代名詞はthatになります。
She is the only one that speaks French in the office.
彼女は職場で唯一フランス語を話せる人間だ。
This is everything that I can do for you.
これが私があなたのためにできる全てです。
リーディングとしての関係代名詞
関係代名詞を使うことで文章に広がりがでます。より多くの情報を一つの文で表現できる反面、読み手にはわかりにくくなるのも事実。特に関係代名詞に慣れていない英語学習初級者だと文章が理解できないことも。そんな時は英語の基本、主語・動詞をまず見つけましょう。関係代名詞の後続節が文章そのものを長く見せているだけで、コアとなるのは先行詞。文章の長さに惑わされずに主語・動詞を見失わなければ必ず理解できます。