中3レベルの文法になるとなかなかレベルも高くなってくるため、壁に当たる生徒も増えてきます。分詞もそんな文法のひとつです。
実際、分詞を使った文章は一見長くて難しそうに見えます。しかし、苦戦している生徒には共通点があります。それは、分詞を使った文章の作り方ばかりを考えていて、そもそも分詞は何のためにあるのかを意識していないことです。
分詞とは、動詞と形容詞の性質を持つ言葉です。もっとざっくりいえば、動詞っぽいけど形容詞のように名詞を修飾する部品です。まずは、以下の日本語を見てください。
女性が台所で料理をしています。
彼女はわたしの母です。
なんの変哲もない説明です。会話では何の違和感もありませんが、手紙や書籍など文字に起こして説明する時はなるべくコンパクトに一文にまとめたい。
台所で料理をしている女性は、わたしの母です。
「女性」という名詞を「台所で料理をしている」という説明が修飾して、ひとつの文になりました。これを英文にすると、
The woman is cooking in the kitchen.
女性が台所で料理をしています。
She is my mother.
彼女はわたしの母です。
The woman cooking in the kitchen is my mother.
台所で料理をしている女性は、わたしの母です。
これが分詞です。名詞womanを分詞cooking in the kitchenが修飾しています。
分詞の基本、じつはすでに習っている?
中学3年で習う分詞。分詞には、現在分詞と過去分詞の2種類があります。じつはこの2つ、それまでの中学の授業ですでに習っています。それは、進行形と受動態です。
(a) My father is watching TV in his room.
父は部屋でテレビを見ています。
(b) This book is written in English.
この本は英語で書かれている。
(a)は進行形の文です。中学の授業では<be動詞+動詞ing>と習いますが、厳密には<be動詞+現在分詞>です。
(b)は受動態の文です。作り方は<be動詞+過去分詞>です。
分詞の文章は、この現在分詞か過去分詞を使って組み立てます。
現在分詞の使い方
現在分詞は動詞に-ingをつけ、「~している」「~の状態」の意味になります。最初の例文”The woman cooking in the ~”は現在分詞を使った文章です。もうひとつ例文を見てみましょう。
The crying baby is Jane’s daughter.
泣いているその赤ちゃんはジェーンの娘です。
名詞babyを現在分詞cryingが修飾しています。最初の例文と違い、名詞の前に置かれています。the crying baby のように名詞の前に分詞を置くことを前置修飾といいます。The woman cooking in the kitchenのように名詞の後に分詞を置くことを後置修飾といいます。
■前に置くか、後に置くか?
原則として、修飾する言葉がcryingのように分詞一語だけの場合は前置修飾します。修飾する言葉がcooking in the kitchen のように分詞だけでなく目的語や補語が続く場合は後置修飾します。
■前置修飾の例文
Look at the running dog. So cute!
あの走っている犬を見て、めちゃカワイイ!
There is a sleeping cat under the table.
テーブルの下に寝ている猫がいる。
■後置修飾の例文
The boys playing soccer in this park always look happy.
この公園でサッカーをしている少年たちはいつも楽しそうだ。
The woman reading a document over there is my boss.
あそこで書類に読んでいる女性わわたしの上司です。
先ほど「原則として」と書いたのは、分詞一語でも後置修飾する場合もあるからです。以下の例文も間違いではありません。
The dog sleeping is hers.
寝ているその犬は彼女の犬だ。
どちらに置くかは「意味がとおるか」「文章として読みやすい配置か」が基準で、絶対的なルールは存在しません。深く考えるとドツボにはまるので、「へえ、そういうものか」くらいに思っておきましょう。
過去分詞の使い方
過去分詞は動詞に-ed(または不規則変化)をつけ、「~されている」の意味になります。現在分詞ではコアとなる名詞が能動的に動作をしていますが、過去分詞は受動的です。
This is the photo taken by the famous photographer.
これがその有名な写真家によって撮影された写真です。
名詞photoをtaken by the famous photographerが修飾しています。
■前置修飾の例文
The broken door will be repaired on Friday.
その壊れたドアは金曜日に修理される予定だ。
The retired man has had a happy life.
その退職した男性は幸せな人生を送ってきた。
■後置修飾の例文
We live in the house built in 1980.
私達は1980年に建てられた家に住んでいる。
The book written in English was too difficult for me.
英語で書かれたその本は、わたしには難し過ぎた。
日常で使われる分詞の言葉
分詞は文章だけでなく、<分詞+名詞>だけで日用品や物事をあらわします。以下を見ると、意外と日常で使われています。
語句 | 意味 | 現在/過去分詞 |
fried chicken | フライドチキン | 過去分詞 |
boiled egg | ゆで卵 | 過去分詞 |
iced coffee | アイスコーヒー | 過去分詞 |
stolen item | 盗難品 | 過去分詞 |
used car | 中古車 | 過去分詞 |
broken heart | 傷心 | 過去分詞 |
rising sun | 朝日 | 現在分詞 |
dressing room | 更衣室 | 現在分詞 |
developing country | 発展途上国 | 現在分詞 |
developed country | 先進国 | 過去分詞 |
opening ceremony | 開会式 | 現在分詞 |
おわりに
分詞を使うと文章が長くなり、慣れないと難しく感じるものです。分詞の文章をきちんと理解するコツは、分詞で修飾されている名詞のカタマリを見極めること。以下の文で言えば、/ で区切られたところまでが主語です。
The woman cooking in the kitchen / is my mother.
主語そのものが長いので難しく感じますが、逆に言えば主語と動詞の境目がわかれば何も難しくありません。常に主語と動詞を意識していれば、文章の意味を見失うこともなくなっていきます。