【やり直し英文法】to不定詞とは文章の表現力を広げる部品です

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「to不定詞には名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法と3つの用法があります」

学校の授業、この説明の時点で心が折れる生徒も少なくありません。だって言葉の響きが難しそうだもの…。

でも安心してください。3用法がわからなくてもto不定詞は使いこなせます

to不定詞で重要なことはひとつ。型は<to + 動詞の原形>、これが文章の表現力を広げる部品になる、ただこれだけです。これさえ知っておけば、会話でも文章でも感覚的にto不定詞を使いこなせるようになります。

ここでは3用法それぞれを解説しますが、用法の違いが理論的にわからなくても気にしないでください。例文の意味が理解できたらそれでOK。重要なのはto不定詞が文章のなかでどんな働きをしているかをつかむことです。

toが持つ特性

いきなりですが、toは前置詞の働きもします。

I went to the library yesterday.
昨日、図書館に行った。

I’m looking forward to seeing you.
お会いできるのを楽しみにしています。

前置詞の後には名詞がきます。最初の文はthe libraryという名詞、次の文はseeingという名詞(厳密には動名詞)がきています。

つまりtoの後ろが名詞なら前置詞動詞なら不定詞と判別ができます。

しかしtoの特性を知っておけば、そのように品詞の理屈で考える必要はありません。toという言葉が持つ特性は、到達点に向かうイメージです。スタディサプリ等で知られる関正生先生の言葉を借りると、「toを矢印(→)に置き換えて考える」とイメージしやすくなります。

I went → the library yesterday.
私は行った→図書館へ

I’m looking forward → seeing you.
楽しみにしている→あなたと会うこと

この特性は前置詞toだけでなくto不定詞でも同じです。最初の例文にto不定詞を加えてみましょう。

I went to the library to study yesterday.
昨日、勉強をしに図書館へ行った。

前置詞や不定詞など文法知識も大切ですがこうやってtoの特性がわかれば、感覚的にtoを理解して使いこなせます。



名詞的用法

名詞とは人や物、場所や事(概念や考え方)の名称をあらわす品詞で、そのまま主語や目的語として使えます。名詞的用法とは、その名のとおりto不定詞が名詞の役割を果たす使い方のことをいいます。

中学の教科書でto不定詞が出てくるよりもずっと前の授業の段階で、じつはto不定詞の名詞的用法と出会っています。以下の例文を見てください。

I like to play the piano.
わたしはピアノを弾くのが好きだ。

I want to watch the new movie.
わたしは新しい映画が観たい。

授業ではlike to「~するのが好き」want to 「~したい」と習う、基本表現です。しかしこれ、よく見てみるとto不定詞の名詞的用法です。to play the piano「ピアノを弾くこと」、to watch the new movie「新しい映画を観ること」がそれぞれ目的語の形で文章の部品になっています。

■主語に使う時は?

前述のとおり、名詞の働きをするということは主語にも使えます。to play the pianoという名詞として使える部品を主語に置くだけです。

To play the piano is fun.

こうやってto不定詞を名詞として使いこなせると、一気に表現できる幅が広がります。

しかしto不定詞を主語に置くことは、あまり日常会話では使われません。なぜなら、主語に使うとフォーマルな印象で堅苦しく聞こえるからです。先ほどの例文を日本語にすると「ピアノを弾くって楽しいよね」なんてカジュアルな響きではなく「ピアノを演奏するという行為は楽しいものだ」と、重く聞こえてしまいます。そんな重苦しさを避けるには、動名詞か it to 構文を使います。

Playing the piano is fun.
It’s fun to play the piano.

■名詞的用法の例文

It’s not easy to master Chinese.
中国語をマスターすることは簡単ではない。

My dream is to establish my own shop.
わたしの夢は自分の店をもつことです。

To see is to believe.
見る事は信じることである。(=百聞は一見に如かず)

形容詞的用法

形容詞とは名詞を修飾する言葉です。beautiful new のように名詞を修飾する働きをするので形容詞的用法と呼ばれます。

Joan has many friends to help her.
ジョアンには彼女を助けてくれる友達がたくさんいる。

I have a lot of things to do today.
わたしは今日やるべきことがたくさんある。

名詞 many friendsto help her が修飾名詞 a lot of things to do が修飾しています。形容詞は通常 beautiful flowers のように名詞の前に置きますが、to不定詞の場合は名詞の後ろに置きます。

■to不定詞の後は正確に

動詞の原形を置くのがto不定詞ですが、何を表現するかに注意が必要です。以下のように、動詞の後に続く言葉が1語抜けるだけで意味合いが変わってくる事もあるからです。

I have nothing to write.
書くことが何もない。
→何を書いてよいか思い浮かばない。

I have nothing to write with.
書くものを何も持っていない。
→鉛筆やペンなど書くものがない。

副詞的用法

副詞とは名詞以外を修飾する言葉です。動詞や形容詞さらには副詞を副詞で修飾することもあります。to不定詞の副詞的用法では、動詞句を中心とする内容を修飾します。

I went to the library to study yesterday.
昨日、勉強をしに図書館へ行った。

She was surprised to hear the news.
彼女は知らせを聞いて驚いた。

動詞句 went to the library to study が修飾動詞句 was surprised to hear the news が修飾しています。

■受験・TOEICでも頻出の決まり文句

in order to ~: ~するために
I had to study very hard in order to pass the exam.
わたしは試験に合格するために一生懸命に勉強しなければならなかった。

too … to ~: ~するには…過ぎる
She spoke too fast for me to understand.
彼女は話すのが速すぎて私には理解できなかった。



おわりに

以上3用法を解説しましたが、いかがでしたでしょうか。冒頭でも述べたように、理論的に文法が理解できなくても、<to+動詞の原形>が文章を構成する部品としてどのような働きをしているかがわかれば問題ありません。

筆者自身、アメリカ留学時代はto不定詞の3用法を知らないままでした。感覚的に使っていたただけですが、特に支障を感じないまま大学を卒業しました。帰国後は英語講師という仕事柄、生徒に説明しなければならないのであらためて3用法を勉強、そこで初めて文法的に理解したという有様。

もちろん、だから3用法なんて知らなくてもOK、という事ではありません。やはり理論を知っておく方が何事にも幅が出ます。ただ、3用法がわからないからといってto不定詞に苦手意識を持つ必要はないという事例と捉えていただけたらと思います。

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