比較は「覚えなきゃいけない事が多い」「文が複雑」といった理由で難しく感じる生徒は多いようです。
しかし比較は、ポイントを押さえればそんなに難しい文法ではありません。暗記だけで乗り切ろうとすると複雑に感じてしまいますが、前提の基本ルールを知っておけば大丈夫。それさえわかればすぐに自分で文章を作れるようになります。
ここでは、そんな比較を理解するための基本ルールを学習していきましょう。
比較する表現は形容詞と副詞
「あいつは俺より背が高い」「この新型テレビ、あっちの店よりも安い!」など、何かと比較する事は我々の日常生活でもよくある行為です。ということは、英文法の比較を理解すると日常英会話でも表現できる幅が広がります。
比較の表現で使われる言葉は主に形容詞と副詞です(「主に」と書いた理由は後述します)。いきなり形容詞だの副詞だの「難しそう…」と感じるかも知れませんが、以下の定義を知れば簡単です。
形容詞:名詞を修飾する
形容詞: new, tall, bigなど
My father is tall.
父は背が高い。
tallがmy fatherを修飾しています。a tall manのように名詞に直接くっつけるることもできます。
副詞:名詞以外を修飾する
副詞: fast, slowly, naturally など
Lisa walks fast.
リサは速く歩く(リサは歩くのが速い)。
fastがwalk(歩く)という動詞を修飾しています。Lisaという存在がfast(速い)わけではありません。
比較は3つの形のみ
比較を表現する基本の型は、原級、比較級、最上級の3つです。
まずは以下の文を使って比較表現を作ってみましょう。
My father is tall.
父は背が高い。
■原級
My father is as tall as Paul.
父はポールと同じくらいの背の高さだ。
■比較級
My father is taller than Paul.
父はポールよりも背が高い。
■最上級
My father is the tallest in his office.
父は職場のなかで一番背が高い。
言い方を変えれば、比較の文章の組み立て方はこの3種類のみ。この3つを理解すれば比較をほぼマスターしたようなものです。
原級: 同じくらい~だ
My father is as tall as Paul.
父はポールと同じくらいの背の高さだ。
このように、何かと何かを比べて「同じくらい」と表現する時は
as (比較する内容) as (比較する対象)
の形で表現します。学校の先生によっては「tallをasとasで挟むんだぞ」という教え方をしますが、もう少し深堀してみましょう。正確には、asで挟むというよりも、2つのasはそれぞれ別の品詞です。一つ目のasは副詞、二つ目のasは前置詞(または接続詞)です。それを踏まえてもう一度例文を見てみましょう。
My father is as tall as Paul.
父はポールと同じくらいの背の高さだ。
一つ目のasは形容詞のtallを修飾する副詞、二つ目のasは名詞のPaulの前に置かれる前置詞です。「asとasで挟む」ように見えるのは、結果的にそうなっているだけです。
■二つ目のas、(または接続詞)ってどういうこと?
二つ目のasが前置詞ではなく接続詞の役割を果たす時もあります。
The boxer is not as strong as he used to be.
そのボクシング選手はかつてほどは強くない。
この例文では、二つ目のasの後ろに<主語+動詞>がある文章が置かれています。この場合のasは、名詞の前にくる前置詞ではなく接続詞の役割を果たしています。
比較級: より~だ
My father is taller than Paul.
父はポールよりも背が高い。
形容詞(または副詞)の語尾に-erをつけることで「より~だ」の形になり、何と比べているのかをthan以下で説明します。
また、thanは原級の二つ目のasと同じように前置詞または接続詞の役割を果たします。以下はthanが接続詞の役割をしている時の例文です。
Lisa looks younger than she actually is.
リサは実際よりも若く見える。
■会話の流れのなかではthan以下はいらない時もある
原級と違い、会話の流れによってはthan以下の説明はいらない時もあります。
A: Which do you like better, coffee or tea?
B: I like tea better.
A: コーヒーと紅茶、どっちが好き?
B: 紅茶の方が好き。
わざわざ“I like tea better than coffee.”などと言わなくても、コーヒーと比べているのはわかるのでthan coffee は省略します。
最上級: もっとも~だ
My father is the tallest in his office.
父は職場のなかで一番背が高い。
形容詞(または副詞)の頭にtheをつけ、語尾に-estをつけることで「もっとも~だ」の形になり、その後ろに「どの中で」を説明します。
比較の範囲を説明する時に使われる前置詞は in か of が一般的です。
in は「空間の中」のイメージです。in this class (このクラスの中で)、in the city (街の中で)、in the world (世界で)のように、特定の人や物ではなく囲いがある中で比較しています。
of は「特定の一部の中」のイメージです。of the five (5人の中で)、of all (この全員の中で)など、空間内ではなく一部と比較しています。
■in の表現
My father is the tallest in his office.
父は職場のなかで一番背が高い。
■of の表現
My father is the tallest of the nine.
父は9人の中で一番背が高い。
more, mostの使い方
比較で使う形容詞(または副詞)によっては-er, -est ではなく、単語の頭にmore, most を置きます。
Health is more important than money.
健康はお金よりも大切だ。
The photo is the most beautiful of the five.
この写真が5枚のなかで一番きれいだ。
■more, mostが必要な単語
-er, -estではなくmore, mostを使う時の絶対的なルールはありません。一般的には、difficultやbeautifulのように3音節以上の場合はmore, mostを使います。しかしslowlyやfamousなど2音節の単語でもmore, mostの時があったりと複雑です。ざっくりいえば、短い単語は-er, -estで、長い単語はmore, mostを使うということです。
以下の表は、more, mostを使うおもな単語です。
原級 | 比較級 | 最上級 |
slowly | more slowly | most slowly |
famous | more famous | most famous |
popular | more popular | most popular |
beautiful | more beautiful | most beautiful |
difficult | more difficult | most difficult |
important | more important | most important |
この表の他にもmore,mostを使う単語はまだまだあります。しかし、全て調べ上げて暗記していくのは現実的ではありません。比較の文と出会った時にその都度覚えながらも感覚を身につけていきましょう。
比較の不規則変化
-er, -est や more, mostではなく不規則に変化する形容詞・副詞もあります。動詞変化もそうですが、不規則変化する言葉は使用頻度が高いものが多いのでしっかり暗記しましょう。
原級 | 比較級 | 最上級 |
good well | better | best |
bad badly ill | worse | worst |
many much | more | most |
little | less | least |
far | farther further | farthest furthest |
late | later latter | latest last |
■fatherとfurtherの違い
fartherは物理的な距離、furtherは非物理的な距離を表す時に使います。
His house is farther north than the station.
彼の家は駅よりも北にある。
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■latterの使い方、latestの使い方
latterは「後者」を表し、former「前者」とセットで使われることが一般的です。
The former product is cheaper, the latter is known for high quality.
前者の製品の方が安く、後者の製品は高品質で知られている。
lastは「最後の」を意味しますが、latestは「最新の」を意味します。例えばthe latest movieと言えば「最新の映画」という意味です。
The company always manufactures its products with the latest technology.
その会社は常に最新の技術を採り入れて商品を製造している。
比較を使った名言
最後に、比較を使った名言を紹介します。
“Twenty years from now you will be more disappointed by the things that you didn’t do than by the ones you did do. So throw off the bowlines. Sail away from the safe harbor. Catch the trade winds in your sails. Explore. Dream. Discover.”
Mark Twain
今から20年後、あなたはやったことよりもやらなかったことに失望するだろう。だから綱を解き放って安全な港から船を出し、貿易風に帆をとらえよ。探検に出よ。夢を持て。発見せよ。
マーク・トウェイン
※詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
“There is more to life than increasing its speed.”
Mahatma Gandhi
人生には、速度を上げること以外にも大切なことがある。
マハトマ・ガンジー
※詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。