1914年クリスマス休戦とは?セカオワの「Dragon Night」のモチーフとなった戦場の奇跡

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時は第一次世界大戦。ドイツ軍とイギリス軍が向かい合う戦線で起きた出来事です。

戦場でのクリスマスの朝、1人のドイツ兵が白旗を持って塹壕から出てきます。様子を見るイギリス軍。ドイツ兵は「イギリスさん達、メリークリスマス!」と大声を上げると、イギリス軍の塹壕から誰かが「そっちもメリークリスマス!ドイツ野郎!」と叫びます。ドイツ軍の塹壕から1人、また1人とドイツ兵が姿を現します。それに応えるようにイギリス軍の塹壕からも兵たちが出てきます。やがて戦線の中央で対峙する両軍。互いに手を差し出します。その手に武器はなく、代わりに暖かい握手をかわしました

それぞれ支給品の酒やソーセージなどを持ち寄り、両軍は語り合い、笑い合いました。誰かがサッカーボールを持ち出してきて、ドイツ対イギリスのサッカー試合が始まりました。この場には兵士はいません。戦場の真ん中で、ただ平和を願う善良な人々がクリスマスを祝っているだけでした。

やがて宴が終わり、両軍はそれぞれの塹壕へと帰っていきました。そして一夜が明けた次の日、彼らは再び戦う兵士へと戻りました…。

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SEKAI NO OWARI の「Dragon Night」のモチーフとしても有名な、1914年のクリスマス休戦の話です。当事国でもある欧州では有名な話ですが、軍の公式記録には存在しません。なぜならこれは現場の兵士たちが自発的に起こした休戦であり、軍はそんな事は命令していません。兵士達が自分の意志で勝手に休戦をしたという事実は、軍にとっては好ましい事ではありません。例えそれが平和のためであっても、これを公式に認めてしまったら組織の存在意義を揺るがしてしまいます。

この話が知れ渡ったのは、この奇跡を体験した多くの兵士が家族や恋人に手紙を送り、喜びを共有したからです。やがてたくさんのエピソードが絡まり合い、絵本や小説、映画にもなり、伝説のように語り継がれるようになっていきました。

イギリスの作家マイケル・モーパーゴ著の絵本「世界で一番の贈りもの」では、イギリス兵の体験としてクリスマス休戦のエピソードが描かれています。作中に登場するイギリス兵ジムは教師、ドイツ将校は楽団のチェロ弾きです。血も涙もない兵士などは存在せず、誰もが家族や恋人を愛し、平和を愛する善良な人々です。チェロ弾きのドイツ軍将校は言います。「サッカーで勝負を決めたらいいのに。だれも死なずにすむ。親を失う子もいない。夫を失う妻もいない。」

人にはそれぞれに「正義」があり、争いが起きるのは仕方がないことかもしれません。しかし解決法が殺し合いとはあまりにも救いがなさ過ぎます。国が違えどともに友達のように歌い踊り、平和を願うことはできるはずです。



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