※ この記事には広告・PRが含まれています。
「聞き流すだけで英語が話せるようになる!」
そんな謳い文句の英語教材が流行った時がありました。それ以前にも聞き流し英語学習の効果については長い間、議論されてきました。実際のところ、効果があるのでしょうか?
結論から言えば、文章の意味がわからなければ聞き流しても効果はありません。
別の言語で考えてみましょう。例えばアラビア語の知識ゼロの人が毎日アラビア語の聞き流しを続けても、いつまでたってもアラビア語を習得することはありません。考えてみればそりゃそうだ、ですね。読んでも理解できないものは聴いても理解できません。
では、なぜこれほど聞き流し英語学習法が話題になるのでしょうか?大きくわけて2つの理由があります。
1つ目の理由は単純で、「楽に英語をマスターできる方法が存在していてほしい」という人々の願望です。英語学習はダイエットと似ているものがあり、どちらも「簡単に達成したい」と望まれる傾向にある分野です。しかし実際は近道などなく、地道な継続が最も重要である点も似ています。
もうひとつの理由は、「幼児が母国語を習得する方法で学習できるのではないか?」という考え方です。幼児はたくさんの言葉を聞いてスポンジのように吸収します。そして耳から入った情報だけで言葉を話すことを学んでいきます。
残念ながらこの方法は大人には当てはまりません。生まれてきてから4~6歳の間に、母国語を話せる基本的な言語能力が身につきますが、それまでの4年以上の間に、それこそ毎日10時間以上は言葉を聞き続けているのです。社会人が毎日それだけの時間を確保できるかという時点で現実的ではありません。さらに幼児は、ただ聞き流しているのではありません。スヤスヤ気持ちよさそうに眠っているように見えるその内側では、耳から入ってきた言葉を、成長途上の脳細胞とともに言語能力が構築されているのです。すでに論理思考が身についた脳を持つ少年や大人とは言語学習のプロセスが根本的に異なります。
理解できる語彙力・文法力が大前提
聞き流し学習が全く効果ゼロというわけではありません。しかし前述したように、全く意味のわからない文章を聞いても何も身につきません。耳に入ってきた情報が何を意味するのかを理解する知識が必要です。つまり、「聴いて理解するには読んで理解できること」が前提で、聞き流し学習で効果を上げるには事前のインプットが必須なのです。つまるところ聞き流し学習は復習的な意味合いが強く(しかも非効率的)、新しい知識を得るには不向きな学習法です。
結局、効率の良い学習法ではない
聞き流す英語の内容がしっかり理解できるレベルだったとしても、「ながら学習」の聞き流しではほとんど頭に入ってきません。そもそも人間の脳は2つ以上のことを同時進行では処理できないのです。仕事でも同じです。顧客対応をしながらスケジュール管理、書類作成などマルチタスクをこなしているつもりでも、厳密には脳は1つずつの処理を細切れで断続的に行っているのです。
結論:集中して勉強したほうが効率的
わからなければ聞き流しても意味がない、理解できても集中して聞かないと記憶に残りにくい。そんなわけで聞き流し学習はおすすめしません。何もしないよりは良いかも…程度です。効果を実感できない聞き流しを続けるよりも、短時間でも集中できる時間でリスニング学習やシャドーイングに励む方がはるかに効率的です。
英語を身につけるには魔法の勉強法はありません。地道に勉強していきましょう。