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「中高6年間も英語を勉強しているのに話せるようにならない。だから受験英語は役に立たない。」
昔から続く受験英語への批判の常套句ですね。
本当に受験英語は役に立たないのでしょうか?
答えは明確にNOです。
受験英語は役に立ちます。
では具体的に、どのように役に立つのでしょうか?
ここでは受験英語のメリットを解説します。
受験英語は英語基礎力の土台作り
受験英語では、まず文法の知識と単語力が必要とされます。しかしこれだけでは話せるようになりません。まあ当たり前ですね。だから受験英語は実践的ではない、という発想がそもそも短絡的過ぎます。
英語が話せないのは、身につけた知識を使ってみる経験が圧倒的に少ないからです。受験英語を野球に例えてみましょう。授業で学ぶ文法や単語は素振り・キャッチボール、筋トレなどの基礎練習です。優れた選手になるためには基礎練習は不可欠です。しかし練習試合などの実践練習も必要です。逆に実践練習ばかりでもすぐに限界がきます。
受験英語は基本的にインプット学習が中心、アウトプット練習が少ないものです。しかしインプット学習は必要な学習です。インプットすることでアウトプット能力の土台が作られるのです。
そもそも受験英語を批判するのはお門違い?
「受験英語は役に立たない」
↓
「だって話せるようにならないから」
この前提が間違っています。
そもそも受験英語は「英語が話せるようになる」ためのカリキュラムではありません。あくまで英語力の土台を作るための教育です。中高あわせて6年間も勉強する、といっても毎日英語の授業があるわけでもありませんし、あっても1日のうち50分。トータルの勉強量で考えれば大したことありません。それで英語をマスターできるなら、6年間サッカー部だった部員は全員プロレベルになってます。
英語が読める、英語が聴き取れるだけでも立派な英語スキルです。英語教育に多くを求めるのはやめましょう。
「4技能をバランスよく」は無理
英語教育では「読む・聴く・話す・書く」の4技能をバランスよく身につけることを目標に掲げていますが、正直あまり現実的とは思えません。
母国語の日本語でさえ個人によってばらつきがあります。話し上手だけど文章書いたり本を読むのは苦手、逆に読書家だけど口下手。偏るのは自然なことなので、英語だとなおさらです。
特に話す・書くの技能、いわゆるスピーキングとライティングは特に難易度が高いアウトプットスキルのため、苦手意識を持つ生徒が多くなるのも当然です。
中学高校時代に読む・聴くのスキルが多少身についただけでも立派なことです。あとは社会人となり、仕事で英語力が求められた時に、あらためて必要に応じてスピーキングまたはライティング能力を勉強すればよいのです。その時には間違いなく受験英語の経験が活きてきます。
受験英語が役に立った経験
筆者のアメリカ留学時代、受験英語が大いに役立ったエピソードをお話しします。大学の授業でクラスメイトとペアを組んで論文を書き上げる課題がありました。パートナーはモハメドというアラブ人留学生。よくしゃべる明るい性格で、アメリカ人ともすぐに仲良くなっていました。私は英語力には自信があったもののコミュ力不足でなかなか上手く話せず、彼をうらやましく思ったものです。そんな彼とのペアワーク、書き上げるパートの役割分担を決めて、1週間後にお互い書いたものを見せあう約束をしました。
そして打ち合わせの日、彼の書いた論文を読んで愕然としました。スペルミスは当たり前、文章の構成は文法以前の問題でした。「おいおいなんで動詞が3つもあるんだよ、接続詞か関係代名詞でつないでる・・・わけでもないな。ってか途中で主語変わってね?」、そんな感じで解読不能。さすがにそこまでハッキリとは言えず、彼には「え?これってどういうこと?どれが主語?ちょっとわかりにくいんだけど」と聞いても、「いや、俺の英語は正しい」の一点張り。なんだその根拠のない自信は・・・こんなん提出できねーよ・・・と途方にくれました。ちなみに普段から彼の話す英語は文法がメチャクチャです。それでもその場のノリでアメリカ人にも通じていたようですが、いざ文章におこしてみるとさっぱりわかりません。
話し合いの結果、モハメドが主に情報収集と下書きの組立て、私が執筆の一部と全体の校正・完成させるという役割分担で落ち着きました。文法力・文章力は彼より私の方がずっと高いということは素直に認めてくれました。無事に論文を書き上げて提出できましたが、まさかこんな場面で受験英語のありがたみを知るとは夢にも思いませんでした。
受験英語が苦手だった大人でもやり直せる!
なかには「いや英語が苦手だったからそもそも受験英語なんて身についていないし」という人もいるでしょう。それはそれで問題ありません。これからアウトプット中心の英語学習をしながら、必要に応じて文法の知識を吸収していけばよいのです。今はもう受験生ではありません。苦行のような受験勉強を繰り返す必要はどこにもないのです。
とにかく英語を話してみること。間違ってもよいので、ジェスチャーやノリと雰囲気で押し切ってもよいので、とにかくアウトプット。「自分の英語が通じた!」という小さな成功体験が重要です。そうすると英語が楽しくなるし、「あの時はこう言えばよかったかも」と悔しい思いがモチベーションになります。そうすると文法や単語の勉強も苦ではなくなってきます。最初は話せないかもしれません。しかし慣れてくると段々と昔の知識を思い出して経験を重ねるごとにインプットしたものを使いこなせるようになっていきます。それを実感できたらしめたもの、英語学習が楽しくなります。