※ この記事には広告・PRが含まれています
頑張ってリスニングの勉強をしているけど聴きとれるようにならない…
そんな悩みをよく耳にします。特に初心者に多いのですが、根本的な原因は多くの人が共通しています。素質やセンスなどではなく、間違った勉強法で頑張っているのです。せっかくの努力が空回りして、上達の実感が得られないからモチベが下がる、という負のスパイラルに陥っています。
ここでは、そんな初心者が陥りがちなNG勉強法と、確実に上達するためのリスニング勉強法を紹介します。
間違った英語リスニング勉強法
リスニングにも色々な勉強法があり、人によって合う合わない勉強法があるのは事実。しかし、誰にとっても「これはNG」というものがあります。
映画や海外ドラマを教材にしている
「楽しく英語を勉強したい」との考えから、英語や海外ドラマをリスニング教材にすることがあります。しかしこれは中級~上級者向けの勉強法です。言っている内容が理解できなかったり、全く聴き取れないことも多く、楽しいよりもストレスになってしまうでしょう。しかも登場人物が正しい英語を話しているとは限らず、英語の知識が不足している初心者だとそれに気づかず間違った英語のまま覚えてしまう恐れもあります。
しかし、「それでも自分はこのセリフが大好きだから覚えたいんだ!」という強い熱意があるかもしれません。それはそれでやってみるべきです。好きでやりたいことを無理にやめる必要はありません。ただ学習効果はあまり望めないので、勉強の気分転換くらいに捉えておきましょう。
自分の実力以上の教材を使っている
音源を聴いてもほとんど理解できない教材を使うのはNGです。ほとんど理解できない時点で今の自分のレベルに合っていません。それでも解説文を読みながら繰り返し聴いているとそのうち理解できるようになるでしょうが、成果を実感する前にモチベが下がります。
また、音源の長さも重要です。英語を聴くという作業は集中力が必要ですが、慣れないうちは力が入ってしまい長時間の集中が難しいでしょう。最初は集中力が途切れない程度の長さの音源を選びましょう。
聞き流し学習をしている
聞き流し学習をしている方は案外と多いようです。「英語のシャワー」と言えば聞こえはよいですが、はっきり言って効果は無しです。かなり好意的に言っても何もしないよりはマシ程度でしょう。 いくら耳へと英語が流れ込んできても、理解しようと集中しなければ聴き取る力は身につきません。全く知識のない中国語の音声を毎日聞き流したとしても、ある日突然に中国語ができるようになるなんてことはないのと一緒です。
聞き流し学習が広く注目を集めるのは「楽に英語を身につける方法が存在していてほしい」という願望からくるものでしょう。残念ながら英語学習に大切なのは地道な努力と継続、というのが現実です。
文法・リーディング能力が追いついていない
意外と見落とされがちですが、英語を聴いて理解するには、読んでも理解できる英語力が必要です。たとえ単語ひとつひとつの音を正確に認識できたとしても、単語の意味がわからなければ理解できません。1つくらいならともかく、未知の単語がたくさん出てきたらもう絶対に理解不能です。
たとえ絶対音感を持った一流ピアニストが英語リスニング音源を聴いても、英文法の知識がなければただの言葉の羅列でしかありません。耳だけを鍛えるのは不充分です。聴いた英語を理解するには文法知識と語彙力は不可欠です。
確実にリスニング能力が上達する勉強法
NGな勉強法がわかったところで、次は効果的なリスニング勉強法を紹介します。
自分のレベルに合った教材を使う
当たり前のことですが、今の自分のレベルに合った教材を使いましょう。簡単過ぎても飽きるし、難し過ぎても心が折れます。
とはいえ教材探しも簡単ではありません。Youtubeやネットを探せばいくらでもリスニング教材になる無料音源がゴロゴロありますが、探すだけでも大変な労力です。ここは必要経費と考え、教材会社が出版している定評のある教材を購入しましょう。プロによる解説がしっかりと書いてあるので間違いありません。
それでも選択肢が多く迷ってしまう…という人は英検問題集をおすすめします。英検はレベルごとに等級が分かれており、自分の現在地を把握するには優秀なツールになります。英検の問題は実際に受験しなくても良質な英語学習教材です。英検公式サイトから無料で過去問題をダウンロードできるので、自分に合った級を探してから問題集を購入してみるとよいでしょう。
1冊をしっかりやり込む
「つい色々な教材に手を出してしまう」のは初心者あるあるですが、これはなかなか上達しません。少しかじってまた次の教材へ…と繰り返してもそれは「勉強した気になっているだけ」で、現実にはほとんど身についていません。それよりも1冊を丁寧に繰り返し、完璧に理解できるまでやり込みましょう。遠回りしているようで、それが一番上達します。
「週末みっちり」より「毎日10分」
これはリスニング学習に限った話ではありませんが、勉強は継続が大事です。週末まとめてやるよりも毎日少しづつの方が学習効果は高いです。
いくら週末に気合を入れて長時間勉強しても、1週間後にはほとんど覚えていません。それよりも記憶が新しいうちに勉強した方が脳が英語に慣れていきます。毎日が難しいなら1日おき等でもよいので、脳が完全に英語モードOFFになる前にまた英語をインプットしましょう。
語彙力・文法の勉強も大事
前述したように、読めなければ聴けません。理解できないものが耳に入ってきても理解できないままです。知らない単語は何回聴いてもわかりません。
リスニングのためにも、語彙力や文法知識などの英語基礎力は大事です。リスニング教材を聴いて知らない単語があれば必ず調べましょう。わからないをわからないまま放置しないことが上達への近道です。
英語を英語のまま理解するクセをつける
リスニングでやってはいけないことは、聴き取った英語を頭の中で日本語に翻訳しようとすることです。なぜなら、日本語訳を考えている時は英語の聴き取りに集中できないからです。例えば、“What did you do on last Sunday?”くらいだと「えーと、『先週の日曜日、何を、しましたか?』だな」とすぐ日本語訳できるでしょう。しかし、飛行機のアナウンスのように情報量が多くて長めの説明でいちいち日本語訳していたらあっという間に置いて行かれます。試しに、以下の機内アナウンスを聴いてみてください。
Pre-boarding Announcement
Good afternoon passengers. This is the pre-boarding announcement for flight 89B to Rome. We are now inviting those passengers with small children, and any passengers requiring special assistance, to begin boarding at this time. Please have your boarding pass and identification ready. Regular boarding will begin in approximately ten minutes time. Thank you.
いかがでしたか?頭の中で日本語に変換しているとあっという間に追いつかなくなります。英語を英語のまま理解し、情報を記憶するつもりで聴くことが必要です。
例えば、数字の89が英語で耳に入ってきた時、頭の中で
eighty-nine ⇒ はちじゅうきゅう ⇒ 89
と変換するのではなく、
eighty-nine ⇒ 89
が理想です。
発音練習がリスニング上達の最短距離?
「発音の練習?いやリスニングを鍛えたいんだけど?」と思うかもしれません。しかし、発音練習こそが最もリスニング上達に効果的です。
発音練習といっても、ネイティブレベルの発音を身につける必要はありません。一番の目的は、正しい発音を知識と体感で知ること。正確な英語の音を身体で覚えることにより、耳で拾えるようになるのです。
具体的な練習法はシャドーイングやカランメソッドが効果的です。基本的なやり方は、どちらも耳に入ってきた英文を真似して発話すること。真似するために聴くので否応なくリスニングに集中します。さらに、聴き取った英語をダイレクトにアウトプットするため日本語が介在する余地がありません。つい頭の中で日本語変換しようとしてしまう、なんてことがないため英語を英語のまま理解するリスニング能力が身につきます。
この2つの勉強法の良いところは、リスニングだけではなくスピーキングも必然的に上達するという一石二鳥なことです。
シャドーイング
シャドーイング(Shadowing)とは、英語を聞きながらすぐに同時通訳のように真似して発音する練習法です。この練習法は、実際にプロの同時通訳者が実践しているものです。文章を聴き終えて一呼吸おいてからリピートするのではありません。耳に入ってきた文章の文末からすぐに真似を始めること。文章を影(shadow)のように追いかけることからこの名前がつきました。
シャドーイングの利点は、教材があれば自分ひとりで学習できることです。まずは簡単な英文から始めましょう。
カランメソッド
カランメソッドは、「先生が質問⇒生徒が答える」をただひたすら繰り返す練習法。答える時は、質問の文章と同じように答える事。例えば先生の質問が、
Is mathematics difficult?
という質問に対しては、
No, mathematics isn’t difficult.
と、元のセンテンスに沿って答えなければなりません。”Yes, it is. / No, it isn’t.”や”I don’t think so.”などの会話のような回答はNGです。カランメソッドの目的はコミュニケーション能力の上達ではなく、機械的なリスニングとスピーキング訓練だからです。
デメリットは、1人ではできない学習法であること。1人でできるシャドーイングと違い先生が必要です。しかも英語の先生なら誰でもよいわけではなく、カランメソッド指導法の研修を受けたプロに限ります。
日本国内でもカランメソッドを実施しているスクールはいくつかありますが、特に有名なのはオンライン英会話QQEnglish(QQイングリッシュ)です。日本のスクールとしては初めてロンドンのカランメソッド本校から指定校と認定され、講師は全員研修を受けた正社員です。無料体験もあるのでぜひ試してみてください。
実践の場では「空気を読む力」も必要?
音源ではなく会話の相手がいる実践の場では、必要なのはリスニング能力だけではありません。
相手は教材ではなく生身の人間
当たり前ですが、会話をする相手は教材ではありません。これはつまり、聴き取りやすい英語を話してくれるとは限らないということです。現代のグローバル社会では、イングリッシュスピーカーの人口はネイティブよりノンネイティブの方が多いと言われています。
つまり、初めて出会う外国人はネイティブではないかもしれないのです。我々が日本人特有のアクセントで英語を話すように、中国人は中国語なまりの英語、アラブ人はアラビア語なまりの英語で話します。全ての国の訛りを学習するなんて現実的ではありません。会話の文脈や相手の表情、身振り手振りなどから状況を読み取る力、相手の文化背景の知識など、あらゆる意味で空気を読む力も必要になってきます。
そもそも相手が正しい英語を話すとは限らない
筆者がアメリカ留学して間もない時の話です。とある店に入るとメキシコ人の店員に “Can I help you?” と声を掛けられました。
“Can I help you?”、日本では中学で習う基本フレーズです。何も難しいことはありません。しかし相手は生身の人間、教材音源のような模範的な発音とは限りません。その店員は訛りが強くて聴き取りにくく、イントネーションも以下のように
“Can I help you?”
と、赤文字のC – I – p – uの音がかろうじて聴こえた程度でした。こんな時は、うろたえずに状況を把握する力が求められます。
聞こえてきた音がc i p u
↓
店員が客である自分に話しかけている
↓
もしかして“Can I help you?”では?
もはやリスニングというよりも状況把握能力です。空気を読むしかありません。
逆に、日本語を勉強している外国人を想像してください。「ありがとうございます」という日本語を覚えた外国人が、「あざーす」と言う若者と出会ったら大変です。日本人だったら例え若者言葉を知らない中高年世代でも何となく推理することはできます。
実践の場では意外とこんな能力も必要なのです。
とにかく習慣化
繰り返しますが、英語学習で最も大切なのは継続と習慣化です。勉強法によって効率の良し悪しはありますが、スグに楽にマスターできる魔法の勉強法は存在しません。かといって努力と根性だけでもなんともなりません。
楽しく勉強とまではいかなくても勉強が苦にならなくなるよう、無理のない学習習慣を自分の生活スタイルに組み込む工夫をしましょう。