「自分の英語が通じない、ショック!」 ⇒ 根拠のない自信をもつ


「英会話のコツは自信を持って堂々と話すこと」と、よく言われますが、これは決して精神論ではありません。英会話上達のためのメンタル作りのテクニックです。筆者がシアトル留学時代、まさにこのお手本をレストランで目撃した話を紹介します。

私が留学生活を始めてまだ1ヵ月もたたない頃、レストランへ行った時のことです。メニューを見ているといくつか知らない単語や説明がわからない箇所があったので、質問するために“Excuse me.”とウエイターを呼びました。まだまだ慣れない英語で質問してみると、”Pardon?” “Sorry?”と何度も聞き返されました。ジェスチャーを交えながら最終的にはなんとか通じたものの、自分の英語力の未熟さを痛感。ああ、やっぱり自分の英語力はまだまだ低いんだな、と。

一方、隣のテーブルには4人の男性韓国人留学生グループがメニューを見ながら韓国語で何やら話していました。そのうちの1人が”Excuse me.”とウエイターを呼び、なにやらウエイターに一生懸命説明しています。どうやら私と同じようにメニューの質問をしているようです。この韓国人留学生の英語力、明らかに当時の私より下でした。発音も文法も目茶苦茶、何をいっているのかさっぱりわかりません。隣のテーブルで聞きながら内心「いやー、そりゃ通じないでしょ」と思っていました。案の定、ウエイターは露骨に困った顔をしながら、何度も聞き返しています。結局、コミュニケーションが取れないままウェイターは去っていきました。

※ この記事には広告・PRが含まれています。



この韓国人留学生も私と同じように自分の英語力を反省するんだろうな…などと思った私がバカでした。ウェイターが去った後、彼は肩をすくめて「私の言う事が理解できないなんて、なんてあのアメリカ人はバカなんだ」と言わんばかりに仲間たちと苦笑しながら、韓国語で話し始めました。私は韓国語はさっぱりわかりませんが、明らかに自分達の英語力が原因と思っている雰囲気ではありません。悪いのはアメリカ人ウエイターの理解力当時の私は「なんと図々しいヤツらだ」と呆れかえりました。

その後、しばらく留学生活を送ってからで知ったのですが、この時の韓国人留学生の態度は何も珍しいことではありませんでした。アラブ、ヨーロッパ、中南米など他国の留学生も皆同様でした。自分の英語が通じなかった場合、言い方を変えてみるまでは我々日本人と一緒でしたが、その時の考え方は根本的に違うようでした。「自分の表現が下手だったから違う言い方をしてみよう」ではなく、極端な言い方をすれば「理解できなかったあなたのために違う表現で説明してあげる」みたいなどこか上から目線でした。もちろん誰もがそういうわけではありませんでしたが、日本人のように自責な考え方は超マイノリティでした。

この図々しさこそが日本人に足りないスキルです。謙虚さを美徳とする日本ですが、世界へ出るとそれは時に卑屈にみえます。下手をすると自信がないのは何か後ろめたい事があるんじゃないかなどと思われます。反省は必要ですが、必要以上に失敗を責めるのはマイナスでしかありません。



英会話のスキルアップにおいては特に重要です。失敗体験が自信のなさにつながり、自信のなさが声を小さくさせます。声が小さいと相手は聞こえにくいから聞き直してくる。それをまた自分の英語力のせいと勘違いしてしまうという、負のスパイラルに陥ります。今から思えば、あの時ウエイターが私の言う事がわからなかったのは、もしかしたら自信なさげに話す私の声が小さくて聞こえなかっただけの可能性もあります。

見習うべきはこの韓国人留学生達が見せた自信でした。例えそれが根拠のない図々しさでも、失敗体験を引きずらない強さがあります。その後、彼が自分の英語力を振り返ったかどうかはわかりませんが、少なくともその後も英語を話すことに萎縮することはなかった事でしょう。そのメンタルの強さをもって、次の実践経験へ挑むことができるのです。その後の英会話の成長スピードは私よりも彼らの方が絶対に早かったはずです。

もちろん日本人の謙虚さは長所のひとつであることは事実で、誇るべきことです。しかしそれも時と場合によりけり。根拠がなくても自信をもって堂々と振る舞う事も大切だという事を身を持って学んだ出来事でした。



タイトルとURLをコピーしました