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“It always seems impossible until it’s done.”
Nelson Mandela
何事も成功するまでは不可能な事に思えるものだ。
ネルソン・マンデラ
【文法解説】
It seems ~ : ~のように思える、見える
it’s done.
be動詞+過去分詞の受動態です。it is doneで「それは行われる」という意味で、until it’s doneは文脈から「それが成されるまで」となります。
「夢は必ず叶う」「自分を信じ続ければ不可能なことはない」、世の中にはそんな名言がたくさんあります。言葉だけ見れば陳腐にも聞こえますが、実際に何かを成し遂げた人の口から聞くと重みが違います。特にネルソン・マンデラが語ったこの言葉は超ヘビー級です。
「ネルソン・マンデラって名前は聞いたことあるけど、何した人?」って人のために、以下に超ざっくり解説します。
1948年、南アフリカ政府は人種隔離政策、アパルトヘイトを実施。不当な扱いを受けた黒人達は当然これに反発、不服従運動を始める者が出てきました。その中でも弁護士だったネルソン・マンデラは仲間からの信頼と人望も厚く、抗議活動の中心人物でした。そんなネルソンの存在は政府からすれば目障りで仕方ありません。そして1963年、政府は国家反逆罪などを理由にネルソンを投獄します。
その後、獄中から解放されたのはなんと27年後の1990年。自由の身となったのは別に南アフリカ政府が心を入れ替えたからではありません。ネルソンは獄中にいる間もあきらめることはありませんでした。そして外では仲間達が抗議の声をあげ続け、次第に国際社会もネルソンを支持するようになってきたからです。
そして1994年、ネルソン・マンデラは黒人として初めての南アフリカ共和国の大統領になりました。この時ネルソンは76歳。
「27年の獄中生活」、言葉にするのは簡単ですが自分事として想像するとゾッとします。特に移送されるまでの最初の18年間は熾烈を極めるものでした。
移送前のロベン島の監房は縦横2メートルほどの狭さ、日本でいえば畳3帖くらい。ベッドはなく小さなマットと薄い毛布。トイレは鉄のバケツ。家族からの手紙は検閲されて黒塗りだらけ。朝5時半に起こされ薄いおかゆの朝食後、石灰岩の採石場で強制労働。石灰岩に反射する太陽の光で目を傷めたり、石埃で湿疹ができることもありました。さらには看守が新聞の切り抜きをネルソンの監房に置いていくこともありました。記事はネルソンの家族が迫害されたり逮捕されたりする内容。ネルソンの心を折るためです。
ちなみにネルソンが投獄された1963年の出来事といえば、日本では高度経済成長がまだ続いており翌1964年に東京オリンピック開催、アメリカではケネディ大統領暗殺、マーティン・ルーサー・キングJrの”I have a dream”演説があった年です。
そして獄中から解放された1990年は、日本ではバブル崩壊、世界では湾岸戦争が勃発した年。
そんなふうに時代が目まぐるしく動いていた27年間、ネルソンはずっと獄中にいました。人間の尊厳を踏みにじるような扱いを受けながらも、心が折れるどころか黒人の権利を勝ち取る戦いをあきらめることはなかったのです。
「何事も成功するまでは不可能な事に思えるものだ。」
様々な意味が込められた、誰よりも重い言葉です。




