
ひと昔前は勉強といえば紙の教材を読みノートに手書き、というアナログツールの勉強が当たり前でした。というよりそれが唯一の勉強手段でした。IT技術が発達した今、デジタル教材も当たり前となり、完全ペーパーレスのデジタル勉強も可能な時代になりました。そうなると「アナログとデジタル、どちらが効果的な勉強法なの?」という論争が生まれるのも自然な流れです。
結論からいうと、どちらも一長一短です。一方が良くて他方が悪いなどと明確に白黒つけられるものではありません。アナログとデジタル、それぞれの特徴を知り、両方の良いとこ取りで勉強に取り入れましょう。
アナログ学習

「ペンは剣よりも強し」ではありませんが、新しい事を学ぶにはやはりペンが最強です。
アナログのメリット
まずなにより道具を揃えるのに初期コストが安価です。基本的に購入するものは参考書とノート、筆記用具のみです。3,000~5,000円程度で充分に揃います。
暗記という点では、圧倒的にアナログに軍配が上がります。ノートを取るには手書きよりもデジタル端末の方が速くて効率的です。しかし新しい知識を吸収するには、手書きのノートの方が高い学習効果が得られます。これは、手書きの非効率性がかえって脳を刺激して記憶に定着しやすいからのようです。デジタル入力だと機械的に簡単にできてしまうため、脳の印象に残らないのでしょう。実際、プリンストン大学での研究結果で証明されました。
参照:https://dhbr.diamond.jp/articles/-/3576
デジタルの良いところは合理的な効率性です。しかしその便利さが脳を怠けさせる要因になってしまうのです。
アナログのデメリット
勉強を始める準備に手間暇がかかるのがアナログ学習の難点です。「さあ、勉強を始めよう」と思い立った時にやることは、参考書を本棚から出してページを開きノートを準備して筆記用具のなかからペンを手に取る、という勉強準備の作業です。たったこれだけの事ですが、疲れている時や気が乗らない時などはこの一連の準備作業すらメンドくさく感じます。デジタル学習だとアプリ起動ひとつで始めることができる事を考えると、これは思わぬアナログのデメリットです。
また、幅広く学習範囲をカバーしようとすると5,6冊もの参考書が必要になったりします。そうすると場所も取りますし、持ち運びも容易ではありません。
デジタル学習

今ではすっかり世間に浸透したデジタル学習。その効率性と利便性が大きな強みです。
デジタルのメリット
本にすると何十冊もの情報量が、スマホやタブレットなどの端末ひとつに収まるのは本当に便利です。本棚の場所も取らず、持ち運びも簡単です。
タップひとつでアプリ起動すれば、秒で勉強を開始できるので準備の手間暇がゼロ。思い立ったらいつでもどこでも勉強できるので、効率的にスキマ時間を学習に活かせます。
また、オンライン英会話や英語学習アプリも数多くリリースされており、有名講師による質の高い講義動画や英会話レッスン、また学習履歴もデータとして蓄積されるので復習するべき内容もすぐに確認できます。
アウトプット学習は圧倒的にデジタルが有利です。オンライン英会話などは、そもそもデジタルでしかできません。またシャドーイングなどの学習も、CD音源よりもアプリの方が準備要らずで便利で効率的です。
デジタルのデメリット
アナログのメリットで述べたように、新しい知識を吸収するにはアナログにはかないません。便利で効率的だと脳は甘えて怠けてしまう性質があるからです。アウトプット学習や復習には強いデジタルですが、新しい知識のインプットにはやや不向きです。
また、タップひとつで開始しやすいという事は、気軽に中断もしやすい事でもあります。なんとなくダラダラ勉強になってしまったり、飽きて途中でゲームアプリを起動したりと、デジタル端末を使いこなすには自分を律する強い意志が要求されます。
うまく両方を使いこなす
アナログとデジタルのメリット・デメリットを解説してきましたが、冒頭でも述べたようにどちらが良い悪いの二元論ではありません。両方の特徴を理解し、うまく使い分けることが重要です。新しいことをインプット学習する時はアナログ、復習やアウトプット学習はデジタル、など両方のいいトコ取りを考えながら自分に合った勉強法を見つけましょう。