“My life didn’t please me, so I created my life.”
Coco Chanel
私の人生は楽しくなかった。だから私は自分の人生を創ったの。
ココ・シャネル
【文法解説】
シンプルな過去形の文章です。
pleaseは、命令文の文頭に置くと「お願いします」を意味する副詞もありますが、ここでは動詞の「喜ばせる、満足させる」です。My life didn’t please me.で「私の人生は私を喜ばせなかった(楽しくなかった) 」という意味になります。余談ですが、ビートルズの楽曲、”Please Please Me”のplease は両方の意味が使われており、「どうか私を喜ばせて」という意味になります。これは、わざと同じ単語を使って言葉の響きに遊びを持たせています。
※ この記事には広告・PRが含まれています
シャネルが12歳の時、身体の弱かった母が亡くなったため、孤児院へ預けられました。すでに自分の意見をしっかり持っていたシャネルは、先生たちが押しつけてくる「女の子はこうあるべき」「これが社会の常識」といったルールを素直に受け入れることができませんでした。
孤児院には制服があり、白いブラウスと襟元の蝶タイに黒っぽいスカートといった簡素なものでした。シャネルはこの蝶タイを大きめに結んでスカートの丈をつめ、靴下をのばしてはきました。着ているものは同じ制服なはずなのに、シャネルだけ他の女の子と違って見えました。この時から才能の片鱗を見せていたのです。
19世紀末のフランスでは、女の子たちは花嫁修業の教育を受けることが当たり前でした。成人した女性の人生は「お嫁に行く」の一択だったのです。しかし何事にも自分の意志が優先であるシャネルは「男性に養ってもらうだけの生き方なんてまっぴら」とばかりに、自分で稼いで生きる道を考えていました。
男に頼らず自分の力だけで生きていく。現代でこそ珍しくない考え方ですが、当時のフランス社会で女性が1人で稼いで生活するなど、その発想自体あり得ないものでした。
しかしシャネルは小さな帽子店からスタートし、やがて経済的独立どころか世界のトップブランドの地位まで登り詰めました。そしてシャネルが87歳でこの世を去った後も、現代に至るまでトップブランドであり続けています。
言葉どおり、まさに自分の人生を創り出した生き方でした。