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馬力とは力の大きさを表す単位です。身近なところでは車の性能を測る単位として使われています。
馬力という単位を作ったのは、蒸気機関で有名なジェームス・ワットです。ワットが蒸気機関を発明したと勘違いされることがありますが、厳密にいえば発明したわけではありません。ワット以前に蒸気機関技術はすでに存在しています。ワットの功績は、蒸気機関の技術を発明したわけではなく、紡績や製粉、交通機関など様々な産業で設備利用できるレベルにまで改良したことです。このワットが改良した蒸気機関は、イギリスで起こった産業革命に多大な影響を与えました。そしてワットの蒸気機関は、多くの産業界、工場などで導入されたため、皆が共通認識できる出力を表す単位が必要になりました。そこでワットは自らの発明品の出力を馬が荷物を引っ張る力で表しました。この馬力を英語でいうと、そのまんま”horsepower”で、HPと表記されます。1馬力は「1秒間につき550ポンドを1フィート動かすときの仕事率(550 lbf·ft/s)」と定義されました(ちなみに1ポンドは約0.45kg、1フィートは約30cmです)。
■日本ではHPではなくPSと表記されているのはなぜ?
自動車のパンフレットなどでエンジン性能を見たとき、馬力がPSと表記されています。horsepowerなら略すとHPなはずなのになぜ?これは、国によって馬力の定義が違うからなのです。前述のワットが提唱した馬力は「イギリス馬力」といわれるもので、PSと表記される馬力は「フランス馬力」と呼ばれるものです。メートル法が採用されているフランスでは、「1秒間に75キログラムの重量を1メートル動かすときの仕事率」と定義しました。PSは、ドイツ語のpferde(馬)と starke(力)の頭文字からきています。馬力を表す言葉が複数あるというのはややこしい話ですが、日本ではこのフランス馬力を使っているため、PSと表記されるのです。